さしもしらじな

アイドル系のデトックス諸々

岸本ゆめの【好きなら好きって Yeah & Yeah】

 

 

前略、それまでの岸本ゆめのももちろん凄かった。

 

それは、グループ時代はもちろん、ソロになってからも当たり前のように前へと進んで行ったのを感じるからで、パフォーマンスの要素がアイドル…つまりボーカルとダンスからなる規定的なものから、自ら演奏し、かつより自由度の高いバンドになっても、それはなんら変わらない事実であった。

ただその一方で、これまではギターに慣れる、バンドに慣れる、ということに重きを置かれていたのも事実である。始めるのに年齢は関係ないとはいえ、おそらく始めるにはやや少し遅い年齢であるギターという表現方法を使いこなすために時間のリソースを割いてきたところはかなり大きい。

ただ、そんななかでも、去年の1月から始めたエレアコから、今年はエレキギターも練習を始める、その結果、バンドサウンドはより厚く、かつ、より熱く、パフォーマンスは磨かれていった。

ライブに変化が現れたのは4月くらい。比重があからさまに歌に寄るようになって行った。それはギターの諦めで歌へ比重が寄ったのではなく、あからさまに “ギターに慣れたからこそ、歌へ力が入れれるようになった” と言うべき変化だった。

 

はっきりと言えば、グループ時代に負けず劣らずの歌が既にそこにある。

 

もちろん、これはパーセントの問題であり、元より質が違う。アイドルはアイドルの表現があり、バンドにはバンドの表現がある。その表現の違いのなかで、歌の出力のパーセントが同じになってきている…それこそがこの4月からの大きな変化である。

 

加えて、池袋Admと言う場所へも言及しなければなるまい。

今回で2回目であるが、このライブハウスには不思議なホーム感がある。ハコの大きさもあるのだろうが、全員が全員のパフォーマンスを楽しみにきてるし、それに合わせてバンドのパフォーマンスの熱量をも上がってる感覚がある。

それは体感の熱であり、ゾワっとする盛り上がり。ライブの醍醐味があるとすればあの、“ゾワッ” と昂る感覚なのだけれど、どのバンドでもその瞬間がある。そして、それがあるからこそ、バンドに固定客が着いてくる…やはり、言うてもなんやかんやで動員がものをいう世界で、岸本さんが “呼ばれ始めている” のは、あの “ゾワっとする” 感覚を生み出し、そして客を引き連れてきそう…というところまで来ているからだとも思う。

 

 

そしてこの日に限れば、卒業したグループの公演を見た後というのも大きかったかもしれない。アレだけの熱量を目の当たりにすれば、「負けてられない!」と思うのも無理はないだろう。それくらいに【Our Days】はすごい公演だった。

 

 

そんな、武道館公演の翌日である。個人的に「流石にアレは越えられないだろう」と思っていたのだ。

ただ、個人の尺度ではあるものの、かなり肉薄していたのだ。もちろん、去来する感情は別でも、その満足度において、かなりトントンだった。

ハッキリと言うが、今が岸本ゆめのさんのキャリアハイだ。

 

 

出番としては四番手、この日の主催のハシグチカナデリヤさんが主賓なので、トリ前みたいなところにいたのは、行ってから知ったのだけれど、シンプルにこの位置でええのか?と言うくらいには他のバンドも良かったのよ。

 

アズライトさんは、前回の池袋Admでも共演していただいたバンド。今回はドラムが違ったらしいのだけれど、それを感じさせないくらい良い演奏…と言うか、ふつうに進化してた。全体のリズムのキレが上がってた感じ。

(THE TRAINTRAINS にしてもだけれど、2度目ましてなバンドがあるとついつい親しげに見ちゃうこの現象。)

 

そして、村上達郎バンド。スーパーシンガーソングライターというだけあって、かなり熱い演奏。パワーのあるヒトであるのと同時に、少し人間臭さ…弱さみたいなものを感じるのが魅力だったな。

 

 

(個人的に、“対バンイベントで頭に残ったら良い曲” という感覚の中で、覚えていた楽曲。)

 

からの、岸本ゆめのさん。

 

一曲目は「静電気パチリ」から、すでに熱量の入り方が違っていたなぁ。

今回のバンドメンバーは、ギターはお馴染みマスター楢原さんと、ドラムはクマさん、そしてベースはマリーヌさんの、“クマリーヌ” セットだったのだけれど、クマさんのドラマの一発目からテンションが高かった感じがする。

対バンイベントにおいては、なんやかんやで熱量が入るまでに時間がかかってしまう。リハからも時間が経ってしまうし、それでいて前の人の関係で押すこともある。観客だって、全員が全員自分のファンというわけではないので、雰囲気を掴むのにも時間がかかる…というのもあるかもしれない。なので、熱が上がり始めるのが、持ち時間の半分を越えたあたりから、というのもザラではない。

ただ、この日はクマさんの一発目のドラムから鳴りが違った。いや、変えたのかもしれないのだけれど、もう全然テンションが高かった。

そのまま、熱量高めの「静電気パチリ」。なぜか、クラップが起きたり、してて最高だったなぁ…ギターソロも相変わらずのカッコよさ。

 

からの「心にSUNNY」。一曲目で肩にかけていたギターを一旦後ろに置き、ハンドマイクで臨んでいくのがなんともカッコいい。

そして、テンションがまぁ高い(笑)。前回もまぁまぁ高かったのだけれど、それに輪をかけて高かったんだよなぁ…!今までで一番高かったんじゃないか?ヒトはそれを充実とも言う。

 

そして、再びアウトロでギターを抱えて、自身のギターと歌のみで始める「しあわせはっぴい」…。

 

伝わってます?このショーアップされてる感じ!

 

完全にバンドライブをショーアップしてるのが、本当に岸本ゆめのの真髄って感じ。結構、面倒だと思うんですよ。ギターを置いたり、また抱えたり。でも、このショーアップのなかにこそ、岸本さんの真髄って感じがして、激アツ。この、ショーアップ岸本ゆめのを待っていたのよ!!!

そしてオープニング三連はいずれもクラップ曲というのも大きかった。曲数が増えているからこそできる構成。あとはファンとのコミュニケーション。“楽曲の歴史はコールの歴史、須くそれはファンとのコミュニケーションの歴史” は【Our Days】の教訓なのだけれど、それがセトリにまで感じれるのは面白い…いやはや、着実な成長すぎる。

 

ここで、メンバー紹介。からの新曲「!!!」。

楢原さんのラジオで、新曲を卸していくとは言っていたのだけれど、曲名は決めないままと言うのはいかほど?

ただこの曲がカッコいい。

構成はシンプルなAメロとサビであるBメロ。ただその煮え切らないメロディーラインからの開放的なCメロへの流れが最高に良い。

そして、“眠れない夜だから” という歌詞。キャッチーなメロディーに聞き取りやすい歌詞と言うのが大事なのは重々承知なのだけれど、ちゃんとやってくれているのが嬉しいところ。

この曲もだんだんと成長していくんだろうなぁ!!!期待!!!

 

そして「り:すたーと」。

今回はパンク感抑えめで、どこかどっしりと構えたアレンジだったな。全員で岸本さんのボーカルをリズム隊となってしっかりと支えている感覚。全員がコーラス隊みたいな演奏といえば良いのかなぁ…とにかく分厚い演奏だったのが印象的。

あと、盛り上がりすぎて、謎に右手があがってたのが最高だったナ…岸本さんのライブで初ですよ、全員で右手挙げてノってたの(笑)

(正確にいうと、僕の横のお姉様が堪えきれず挙げていたのでそれに乗っかった形。まさかの岸本さんのファン発信じゃないっていうね(笑))

 

ここでもう一回MCが入っての、「???」。勝手知ったる「意味分かんな(仮)」。当たり前のようにいるけど、新曲なんだよなぁ、扱いとしては体感、「ずっと、星。」より聴いてる気がする(笑)

当たり前のように岸本さんのギターリフから入るのがすでに面白い。このギターリフでキタキタキタキタキタ!ってなるのよ!(正確にいうと、ギターリフを弾く直前の姿から)そして、ボーカルもだいぶこなれてきた様子。やっぱ “牛丼持ち帰り” のくだり好きすぎる。

あと、もう、マリーヌさんとマスター楢原の3人でのボーカルも好きなのよ…!もう、好きなところしかない。てか、なんでまだ配信されてないんや!!!

 

意味わからんな!!!

 

ラストは最近の恒例「なぐさめないで」。もう、熱量を駆け上げに駆け上げていって終わるのが本当に良すぎる。クマさんもマリーヌさんも、キャリアの長いアーティストだと思うのだけれど、この曲では瑞々しく演奏してるのが好きなんだよなぁ…!

前回もそうだけど、アウトロのマスターのギターソロと岸本さんのフェイクの “声量合戦” が好きすぎる。

この曲でも右手挙げたのが楽しかったなぁ…

 

…いや、これは良すぎる。ライブ全体のセトリとショーアップ、そして新曲の位置。あと、今回は全体的にロック色しかなかったのが強かった。これが今の岸本さんのモードなんだろうな!!!

 

で、からのハシグチカナデリヤさんが最高で(笑)

やっぱ、キャリアが違うし、楽しすぎたのよ。

全体のショーアップ、楽曲の良さ、それを補う技術、自信、それ故のエンターテイメントとしての完成度…多分、今の岸本ゆめのさんがこれらを出来た上でさらにもう一歩の景色だった…まだまだ壁は高いけれど、見てみたい世界がそこにある。

 

 

「カピパラ飼いたい」「アルナイジェリア」「愛しとんじゃけぇ」あたりはイヤでも覚えるくらい楽しい曲。

そして、「好きなら好きってYeah!」。

 

 

アンコール扱いで、その日のバンドを挙げながら「Yeah!」のコールアンドレスポンスがあったのだけれど、

 

ハシグチカナデリヤ「ユメノキシモトが好きなヒト!」

 

ワイ「Yeah!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

ここでアホほど叫んだ。

武道館より叫んだ。

オレ、まだやれたのか…(笑)

 

ちなみにこのイベントは転換も最高で、お題をもらってチョメPさんが即興で曲を作って披露すると言うものだったのだけれど、「ブロッコリー」と「ニワトリ」と言うお題で、「岸本ゆめのさんは筋トレが趣味〜!俺も趣味〜!だからブロッコリーとニワトリ食べてる〜!90%以上同じ人間!!!」って言う歌でぶち上がったりしてた(笑)

 

いやぁ、良い現場だったな!!!

 

そして、岸本さんのパフォーマンスがあからさまに次のステージに入ってる感覚がある。

 

岸本さんが冗談半分で「古参になるなら今です!」と話しているのだけれど、ホントにその瞬間だと思う。第二章という言い方は大嫌いなのだけれど、どう考えてもアイドルからアーティストへの移行期の大きな転換点に【おいでませ四半世紀】はなると思う。なので…

 

いま!!!見なきゃだぞ!いま!!!