今年一番聴いているアルバム。
いや、まだ気が早いのかもしれないが、たぶんそうなるだろうと思われる。
とは言っても、別に多くを買ってるわけでもなし、サブスクを使っているわけでもない。
モーニング娘。'21『16th ~That's J-POP』、空気公団『僕と君の希求』、GRAPEVINE『新しい果実』、東京事変『音楽』、そして今から買う予定の、平沢進『BEACON』、長澤知之『Living Praise』、これらが今のところ今年新譜で手に入れるものであり、それ以外はないのである。
(本来はここに METAFIVE が入る予定だった。まったく息苦しい世の中である。)
見てもらっての通り(?)、別に他のアーティストのアルバムが悪いということはない。
むしろ、一級品と言っても良い。
いや、そう言うためには知見は狭すぎるが、ただ『2nd STEP』が音楽的に上かといえば、それはまた別次元の話というのは事実だろう。
じゃあ、なんで一番聴いてるのか。
風通しが良いからである。
いや、他のアーティストの作品も良いのだ。
ただ、凝りすぎてるというか、“密” すぎてる。
隙がない、なさすぎる。
同じハロプロでも、モーニング娘。の作品は確かに良い。確かに良いが、凝りすぎていて日常で聴き続けるにはイマイチしっくりこない。
「二人はアベコベ」みたいな隙のある曲もあるのはある。でも、どこか計算高いのが、隙を隙と感じさせない。
それに比べて、『2nd STEP』のお手軽さ、聴きやすさ。
いや、あまり良いように聞こえないかもしれないが、この “お手軽さ” が心地よいのです。
無論、ハロプロ伝統のシッカリとした16ビートは意識しつつ、むしろそこだけに拠点を置いて、あとは縦横無尽に、時にリラックス、時にシリアスな雰囲気を醸し出しつつ楽曲は彼女たちに彩られていく。
彼女たちを彩っていく、でもそうかも。
とにもかくにも、全体の緩急。
オープニングの「断捨ISM」はお得意の高速エレクトロポップチューン。からの「マサユメ」は、ファンキーなビートとブラスにのって、情念を叫ぶ。さらに畳み掛けるように「三回目のデート神話」でロックを魅せたかと思えば、「意識高い乙女のジレンマ」では、ミドルテンポで繊細な乙女心を覗かせる。そこから、パッと明るく朗らかに歌う「愛は今、愛を求めてる」が続き、しっとりと歌い上げる「ふわり、恋時計」では和の世界観を作り上げる。そんな、自分たちの強みをはっきりと提示させたかと思えば、「最上級Story」は王道の邦ロックテイストだし、続く「光のカーテン」は真っ正面からバラードを引き受ける。ここで折り返し。
「ナインティーンの蜃気楼」はロック調の疾走感のなかに、うだるようなディストーションがかかっていたり、「恋のUFOキャッチャー」は堂々と “かわいい” アイドルしていたり。ここまで来て、9人体制の最高傑作と言い切れる「イマナンジ?」の問答不要の完成度、それに真っ向から反する「だからなんなんだ!」は遊び心をみせる、この余裕。そして、新たなキラーチューンというべき「My Darling ~Do you love me?~」。ラストへは、自らの原点を確認するかのように響く「抱きしめられてみたい」、これらの前途を受け止めつつ、新しい一歩を踏み出す「足りないもの埋めてゆく旅」をしっとり聴かせて、締めて15曲。
このバラエティに富みつつ、それでいて隙がない構成。
でも息苦しさはない。
そして気がつけばもう一周、もう二周としてる。
流石に月日が経ったので、もうこればっかり聴いてるという状況は無くなっているのだけれど、それでも思い出したように引っ張ってくるくらいには聴いている。
で、やっぱり聴くたびに良いなぁと思うのだ。
ま、全体としては、今はこんなものとして。
一曲一曲を細かく見ていくのかな〜次からは。(予定は未定。)